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自律神経失調症・不定愁訴・統合失調症・うつ病・気分障害などのばあい、心療内科やメンタルクリニックなどを受診すると薬が出されます。
その薬、全て仮説に基づいて処方されているって知っていますか?
またその薬は麻薬とほとんど同じものだって知ったらどうしますか?
まだ飲みますか?
麻薬を飲みながら「健康になりたい」と言っても誰も信じてくれません。
まずはこのページで勉強し、知識を得て、断薬に向けて動き出しましょう。
うつ病は「モノアミン仮説」「セロトニン仮説」、統合失調症は「ドパミン仮説」という説があります。
モノアミン仮説とはセロトニンとノルアドレナリンの少なくとも一方の神経伝達が病的に低下することを基にしています。しかし、この仮説では説明できないことも存在しています。
1956年スイスの精神科医Kuhnはイミプラミンをうつ病患者に用い、イミプラミンが抗うつ作用を持つことを見出しました。当時、イミプラミンの作用機序は知られておらず、モノアミン酸化酵素 (monoamine oxydase, MAO)阻害作用も極めて弱かったのです。イミプラミンが強力なノルアドレナリン再取り込み阻害作用をもつことが、後に米国の研究者らによって明らかにされました。その後開発された様々な抗うつ薬の多くはノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有します。イミプラミンの作用機序から、うつ病では中枢ノルアドレナリン機能が低下しているという仮説が提案されました。しかし、うつ病患者の脳内でノルアドレナリン機能が低下しているのかどうかについてはまだ確認されていません。
イミプラミンなどのノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有する抗うつ薬をラットに慢性投与すると、脳内のβアドレナリン受容体数の減少(ダウンレギュレーション)が起きることから、抗うつ薬の急性投与でも惹起される細胞外ノルアドレナリン濃度増加作用よりも、ダウンレギュレーションのほうが抗うつ薬の作用機序としてふさわしいのではないかというダウンレギュレーション仮説も1970年代に提案されました。ただし、現在主力の抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)はβアドレナリン受容体数の減少を惹起しません。
つまりノルアドレナリン仮説ではうつ病の患者さんに対するエビデンスが確立されていません。
1)うつ病患者で脳脊髄液中のセロトニンの代謝物5-ヒドロキシインドール酢酸 (5-hydroxyindole acetic acid, 5-HIAA)の低下が見られること
2)セロトニンの前駆物質であるトリプトファンをモノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤に併用すると抗うつ作用が増強することなどから、うつ病患者の脳ではセロトニン神経伝達の機能低下が起きているという仮説が提案されました。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)はセロトニン以外のモノアミン再取り込み阻害作用をほとんど持たないため、シナプス間隙のセロトニンを増やすことがうつ病を改善することにつながると考えられます。
しかし、大うつ病性障害患者における脳脊髄液中の5-HIAA濃度低下を支持しない研究も報告されています。さらに、抗うつ薬による細胞外セロトニン濃度増加は単回投与でも得られるが、抗うつ効果が十分に得らるれるためには数週間要するということは、薬理作用と臨床効果の間に矛盾が生じているのではないかという批判も初期のセロトニン仮説に対してありました。
抗うつ薬、特に三環系抗うつ薬をラットに慢性投与すると脳内のβアドレナリン受容体や5-HT2受容体数が減少します。したがって、大うつ病性障害患者の脳ではこれらの受容体(特に5-HT2受容体)の感受性が亢進している可能性が指摘されました。
「うつ病の素因を持つ者ではセロトニン合成の低下があり、セロトニン受容体の感受性亢進が生じて平衡を保っていて、ストレスによりセロトニンが放出されるとうつ病に陥る」といううつ病のセロトニン受容体過感受性仮説がAprisonとTakahashiにより1978年に提唱されました。この仮説は上述のセロトニン仮説の修正版といえます。さらにその後、血小板の5-HT2A受容体機能が、メランコリー型の大うつ病性障害や双極性障害で亢進していることが複数の研究グループにより報告されました。
つまりセロトニン仮説もエビデンスは確立していません。
躁病にはドーパミン受容体遮断薬である抗精神病薬が有効であり、脳脊髄液中HVA濃度が躁病で高値であるという報告もあります。うつ病のモノアミン仮説で述べた仮説を考え合わせると、躁病では脳内カテコールアミン(ドーパミンとノルアドレナリン)の機能亢進、うつ病では脳内カテコールアミンの機能低下が生じ、躁病とうつ病の両方でセロトニンの機能低下が生じるというモノアミン仮説が1970年代に提案されました。カテコールアミン機能の躁病とうつ病における対照的な変化は現在も妥当なものと考えられています。
最近、双極性障害のドーパミン調節異常仮説が提案されました。Berkらは双極性障害のドーパミン仮説を提唱し、双極性障害ではうつ病相でも躁病相でもドーパミン機能の異常が薬理学的に推定されると述べました。すなわち、躁病相ではドーパミン機能の亢進が、うつ病相ではドーパミン機能の低下が推定されます。
躁病相ではドーパミン機能亢進に伴い、ドーパミン受容体の2次的な脱感作が生じ、続くうつ病相を悪化させます。一方、うつ病相ではドーパミン機能低下に伴い、ドーパミン受容体の2次的な感作が生じ、続く躁病相を悪化させます。このようにして中枢ドーパミン機能の調節異常(dysregulation)が双極性障害の病態で認められ、病相交代を繰り返す一因となっているのではないかという。この仮説は魅力的であるが、必ずしもこれまでの生物学的マーカーの研究によって十分に支持されているとはいえません。
1980年代に選択的にセロトニン系に作用する2種類の新しい抗不安薬(SSRIと5-HT1A受容体アゴニスト)が開発され、不安障害の治療に中枢セロトニン系が関与していることが明らかとなりました。そのうちSSRIは無作為化対照試験によってほとんどの不安障害亜型に有効であることが明らかになり、古典的な抗不安薬であるベンゾジアゼピンよりも広い適応を有しています。しかし、これらのセロトニン系抗不安薬がどのように不安症状を改善するのかは作用機序が不明のままでした。
ラットを用いた不安の動物モデルである、恐怖条件付けはセロトニン系抗不安薬の薬理作用の解明に有用なモデルであり、恐怖条件付けにおいてセロトニン系抗不安薬が抗不安作用を鋭敏に示すこと、SSRIの作用部位は扁桃体基底核のグルタミン酸神経であること、などが明らかになってきました。すなわち、SSRIと5-HT1A受容体アゴニストは5-HT1A受容体などを介して扁桃体の神経活動を減弱し、不安・恐怖を減弱すると考えられています。
恐怖条件付けの発現過程では内側前頭前野におけるセロトニン放出がまず活性化されますが、恐怖に繰り返しさらされると扁桃体のセロトニン放出も活性化します。扁桃体のセロトニン放出活性化は不安・恐怖症状を惹起するというよりは、不安・恐怖症状を緩和しようという生体側の反応であり、セロトニン系抗不安薬は扁桃体に投射するセロトニン系の機能を増強して不安・恐怖を減弱すると考えられています。
統合失調症の治療薬である抗精神病薬はすべてドーパミン2受容体遮断薬です。さらにドーパミンを過剰に刺激する薬物(覚せい剤、コカイン、高用量のドーパミン・アゴニスト)は慢性投与で幻聴、被害妄想などの統合失調症類似の症状を惹起します。
これらのことから統合失調症の特に急性増悪期ではドーパミンの機能亢進が考えられています。しかし、ドーパミン機能のみでは統合失調症の治療・症状(特に認知機能障害と陰性症状)を説明することは難しく、さらにドーパミンD2受容体遮断薬だけでは治療効果に限界があります。
「過剰なドーパミン放出に伴うグルタミン酸放出増加とその反復の結果,NMDA型グルタミン酸受容体機能低下が惹起される」という「dopamine
to glutamate仮説」も最近提案されています。
*MAOとはmonoamine oxidase inhibitorといいカテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミン)を分解します。MAO-Aはセロトニン・ノルアドレナリン・ドパミンを分解しMAO-Bはドパミンを分解します。
コカインは中脳辺縁ドパミン神経系の前シナプス神経膜に分布するドパミントランスポーターに結合し、ドパミンの再取り込みを阻害します。その結果、シナプス間隙のドパミン量が増加し、ドパミン受容体を活性化して中枢興奮作用、気分高揚、多幸感などを引き起こして精神依存を発現します。またコカインはノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みも阻害しますが、コカインの中枢作用の発現にはドパミン神経系に対する作用が最も重要です。覚せい剤と同様に逆耐性が生じ同量の薬物に対する反応は次第に増強します。
薬物分類 | 例 | 受容体 (作用) |
臨床症状 | 備考 |
オピオイド | モルヒネ ヘロイン コデイン オキシコドン |
μオピオイド (作動性) |
多幸症、つづいて鎮静 呼吸抑制 |
鎮痛薬として治療上使用される(ヘロイン以外) |
覚せい剤 | コカイン アンフェタミン |
ドパミン、アドレナリン作動性、セロトニン(再取り込み阻害) | 多幸症 覚醒 高血圧 妄想 |
アンフェタミンも再取り込み輸送体を逆にする |
ベンゾジアゼピン類 | トリアゾラム ロラゼパム ジアゼパム |
GABA (調節薬) |
鎮静、呼吸抑制 | 抗不安薬、鎮静薬として治療上使用される |
バルビ ツール酸 |
フェノバルビタール ベントバルビタール塩 |
GABA (調節薬) |
鎮静、呼吸抑制 | 抗不安薬、鎮静薬として治療上使用される 。ベンゾジアゼピン類よりも過剰摂取のリスクが高い |
*GABAは中枢神経系の抑制性神経伝達物質として機能しています。GABAに作用する薬は全てGABA系を活性化し中枢神経系を抑制します。
人間の体内では神経細胞から隣の神経細胞へと刺激が伝達されていきます。
隣の細胞へと刺激を伝達してくれる機構が「シナプス」です。伝達する側の細胞のシナプスから「神経伝達物質(ニューロトランスミッター)」が放出され、受ける側のシナプスの「受容体(レセプター)」に吸収されることで、細胞をまたがって情報が伝達されていきます。
ホルモンの場合には、伝達物質を放出する細胞とそれを受け取る細胞が離れているのに対して、神経伝達物質の場合は隣り合った細胞(つまり局所的)に働きます。
覚醒剤を使うと脳内でドパミンがさかんに放出されます。(なので覚醒剤中毒の症状は、同じようにドパミンの調整障害である統合失調症の陽性症状に似て幻覚などを伴う)。このドパミンシャワーが覚醒感の元であろうと推測されるわけです。
覚醒剤に限らず、人が気持ちいいと感じる物質(アルコールや麻薬や向精神薬)、あるいは行動(買い物やギャンブル、山登りでも!?)で、ドパミンが放出されます。この頻度が高いと、情報を受ける側の細胞(シナプス後細胞)が受容体の数を減らして、刺激を受けにくくなります。するとドパミン神経系全体が興奮しなくなり、以前ほどの快感を感じなくなります。そこで人はより強い刺激を求めて、より多くの酒を飲んだり、より多くの買い物をしたり、より高い山に登ったりします。
これが依存症の「耐性」の形成であり、病気が悪くなる過程です。
その実体は、シナプスの受容体の減少(これをダウン・レギュレーションと言う)です。
ダウン・レギュレーションが起きていると、依存物質が体内にある状態でバランスが取れているので、酒が体から抜けると不調になります。これが離脱症状です。
うつ病には抗うつ薬という薬が出されますが、抗うつ薬が効果が現れるまで2〜3週間かかると説明されます。なぜすぐに効果が出ず、2〜3週間かかるのか? その説明にダウン・レギュレーションが使われます。
シナプス前細胞から放出されたが、受容体に結合できなかった(余り物の)神経伝達物質は、再びシナプス前細胞に吸収されて再利用されます。(シナプス間隙の伝達物質濃度は自動的に下がるようになっている)。
ですが、主な抗うつ剤はモノアミントランスポーターを阻害してアミンの神経終末への取り込みを阻害する事により、シナプス間隙のノルアドレナリン・セロトニンの濃度が上昇させます。
セロトニンの再吸収を阻害することで、シナプス間隙にはセロトニンがたくさん存在する状態が続きます。それが続くと、セロトニン受容体にダウン・レギュレーションが起こり、受容体の数が減ります。このダウン・レギュレーションが起こるまでに2〜3週間かかるのではないか、と考えられています。
そのため、抗うつ薬・抗精神薬・麻薬・その他薬物は突然止めると離脱症状が起こり、断薬することが難しく、いつまでも飲み続け身体を壊していくことになります。
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